2024/11/25 14:23

○ いざスタート

渋滞を避けるためか先頭集団のペースがなかなかのスピードで、

コースを知らない僕は、かなり動揺しました。

ですが、徐々に集団がばらけだし、ペースも落ち着いてくると、

同じぐらいのペースの人が、登り区間やエイドで集まりだしてきます。

ここで僕は、神奈川県の清田選手についていくことにします。

実は顔見知りで、前日の宿も同じで、

なんといってもコースを試走しているというのが心強い。

序盤から後ろにつき、安定したペースで進んでいきました。

進むにつれ、自分の体がトレイルになじんでくる感覚があり、

似た走力かつコースを知っている選手が近くにいる安心感も相まって、

レースへの弱気な発言は、次第に本音から冗談へと変わり、やがて消えていきました。

そして、早々に正丸駅エイド(23kと119k地点)に到着。

そこにはパラチノースネキの姿が。向こうは覚えてくれている様子。

「119k地点でまた会いましょう」と言うと、「次はもういないんです」と告げられ、

何なら、「田中さん頑張ってください」と応援されました。

まあいいんです。ありがとうございました。

モチベーションの1つが悲しい結果に終わりましたが、くよくよせず再出発しました。

100mileのカテゴリーはエイドが14か所あり、

1つ1つのエイドに何かしら変わり種のフードがあったため、

きつさの中にも、楽しみを見出しながら進むことができました。

そして、あっという間に中間地点となるデポジットできるエイド(83k地点)に到着。

このとき、12時間33分。

レースプランは考えていなかったものの、

序盤とばし過ぎず、ざっくり28時間ぐらいでゴールできたらとイメージしていたため、

かなりいいペースであったし、余力もありました。

デポエイドでは、補給をザックに補充した後、

ワセリンを股に上塗りし、インナー(ユニクロ)のみ交換して、早めに出発しました。

距離、累積共に、ちょうど半分地点。

また同じようなコースを行くことは、想像するだけで嫌になりましたが、

完走はほぼ確実だと確信し、前向きにスタートできました。

 

○ ゴールに向けて

序盤から中盤にかけても清田選手の後ろにつくレース展開をしていました。

清田選手も、「後ろからヤマアツの圧でいいペースで進めている」と、

嫌がる素振りを見せず、優しく接してくれました。本当に感謝しています。

ロストは気にせず、足元の木の根に注意を払うという最低限の集中力で進んでいると、

ときより、ぼーっとしながら走る区間もあり、

それが眠気なのか、単なる集中力が切れているだけなのかよく分からない状態でした。

決してゾーンの状態に入っているわけではないため、もしもの眠気に備え、

お昼を過ぎたあたりから、毎回エイドでホットコーヒーを摂取しました。

当日は最高気温が20度ほどの曇り空で、汗だくのままホットコーヒーを飲んでいたため、

明るい時間帯は、スタッフの人に驚かれる場面もありました。

それが功を奏したのか、中間地点を過ぎても何とか眠気をおさえることができており、

血糖値スパイクにも気を付けながら進んでいきました。

とはいえ、22時頃を過ぎ、普段寝る時間にさしかかると、

さすがに眠い、そしてだるい。

ペースを落としたくなるも、ここでちぎれたら悔しいしロストの危険もあると思い、

清田選手の引っ張りに負けじとついていきました。

このあたりから、怒涛の逆転劇も落ち着きだし、

先行の選手をまくっていく快感も味わえなくなっていきました。

すると、より眠気が襲い、後続の選手の追い上げも気になりだしました。

ホットコーヒーやカフェイン入りのジェルを摂取し、

ただひたすらに頼みの綱である「朝」を待ちました。

だんだん気温が低下するも、登り以外は走れており、上着も終始使わずのままでした。

「明日は晴れるだろうなあ」と期待をしつつ迎えた朝。

ほとんど眺望がない里山コースで、数少ない絶景スポットで朝日を見ることができました。

しかも、待ってましたと言わんばかりに、そこにはカメラを構えたスタッフが。

眺望といっても山しかありませんが、

ここまで進んできたというストーリーが、最高の感動を生み出しました。

もはや眠気というワードが頭の中にありません。

しかし、終盤は疲労に加え、ひざや足首の痛みが出てきており、

しかも清田選手は、「同時ゴールは冷めるから、最後はバチバチする」と言っており、

最後のエイドからの区間は、ちゃんと清田選手に離されてしまいました。

そしてついに念願のゴール。

26時間58時間で6位(29歳以下1位)

清田選手とは2分差でゴールでき、お互いをたたえ合いました。

 

○ 感想

ゴール後、MCTOMOTから、

「2週間前に100mileをすなっ(笑)。でも走れるって分かったね。」とコメントされ、

見事に僕の想いを代弁してくれました。

序盤に会った際、僕が「やめたい」と言っていたのを覚えてくれていて、

終盤には熱いエールを送ってくれたTOMOT

何より名前を呼んでくれるのが嬉しかったです。

今回はレース参加だけでなく、スケジュール的にも自分への挑戦であり、

得たものもありますが、同時に反省も多かったように思います。

やっぱり遠方に多くの時間とお金を費やしているなら、きちんと心身を調整すべきでした。

個人的に「リカバリー100mile」に強い憧れはありますが、

現状の実力ではやっぱりもったいないかな...(あとメンタルがもちません...)

しかし、僕の連戦はまだ続きます(さすがに100mileレースではありませんが)。

本当に大反省です。普通に疲れました。

ですが、会場の雰囲気やレースでしか味わえない感動、ゴールの瞬間など、

たくさんの魅力があるのがトレイルランニングレース。

ハードスケジュールでの連戦に嫌になりつつも、

それが癖になっている自分も垣間見えています。

ぜひ、次回のレースレポートもお楽しみください。